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2013-07-21 (Sun)
子供のころ、家のすぐ近くに住んでいた同級生の男の子のことが、なんとなく好きでした。
小学校は集団登校だったので朝は毎日一緒に学校へ行ったし、バス通学だった中学校でもいつも同じバスに乗っていました。
けれど通学中も学校でも特別仲良く話をするわけでもなく、休みの日に遊んだりするわけでもなく、その関係はどこまでいっても、ただ家が近いだけのおさななじみといった感じでした。

そんなふうだったので、別々の高校へ通うようになってからはずいぶんと疎遠になりました。
ほとんど会わないし、たまに近所で会っても軽く挨拶するくらい。
ところがある日、久しぶりに学校帰りのバスの中で会った彼が、こんなことを言ったんです。

「俺の学校、ぜんぜんイイ女いないんだよなー。お前んとこカワイイ子いる?誰か紹介してくんない?」

これが少女マンガなら、「ここにいるじゃん!」と答えて見事ハッピーエンドな展開が待っているんでしょうか。
あるいは冗談だと思われても、それはそれで話がはずむならアリじゃないですか。
でも現実の私はそんなとっさに気の利いたことを言える人間ではなく、

「もったいなくてあんたに紹介できるような子はいないなー(笑)」

と返すのが精一杯だったんですよね・・・。
高校時代、まともな会話はこれが最初で最後だったような気がします。
そして卒業後は私が家を離れてしまったのもあって、話どころか会うことさえも、何年もなくなってしまいました。

ようやく話ができたのは、それから10年以上も経ってから。
娘を見て「お前の子供の頃によく似ている」と言ってくれましたが、まさかそれが本当の「最後」の会話になってしまうとは――。


ある年の冬、彼は亡くなりました。まだ30半ばでした。
病死でしたが、相次いで両親が亡くなって精神的に参ってしまい、お酒に溺れた結果だったようです。

そういえば最後に会ったときは近所の家のお葬式でしたが、そのときにはすでに彼の両親は亡くなっていて、彼が一家の長として参列していたのです。
田舎なので礼儀にうるさいところです。彼が頑張っていたのはよくわかったのですが、地域の長老たちと話す様子は饒舌すぎて、こんな人だったかとほんの少し違和感も持ったのです。
躁鬱病だったと亡くなってから聞いて、葬式の席での調子がよすぎるとも思えたおしゃべりはそのせいだったかと、あとから思ったのでした。

ところで、彼は亡くなるまで独身でした。
両親の死と、それにともなって若い身空で突然田舎の面倒なしきたりを背負うことになった重圧は、確かに大変で気の毒なものだったと思いますが、もし他に家族がいれば、彼はここまで追い詰められることはなかったのではないかと思うととても残念です。

そこそこイイ男だったので、さすがにずっと彼女がいなかったとは思えませんが、ときどきふと、高校時代の会話を思い出してしまうのです。


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